スタンプインクの良くある質問
始めてダイインクをご使用になられたお客様からよくあるご質問にお答えしました。皆様の参考になりますと幸いです!
+++++++++++++++
①インクの表面がまだらである
ダイインクと記載のある、ダイ(染料)ベースのインクパッドに濃淡のムラが見られるのは普通のことで、不良品ではありません。
色やメーカーによって差はありますが、多かれ少なかれまだらに見えることはよくあります。
どのメーカーでもグリーン系のパッドにその傾向があるように思われます。
しかしそのように見えるだけであり、実際はパッドにしっかりとインクが浸っていますので安心してご使用いただけます。
②スタンプした絵柄がまだらである
これには大きく分けて2つの原因が挙げられます。
1:インキング(スタンプの印面にインクを付ける作業)に偏りがある。
2:インクのペーパーへの浸透が不均一である。
1:インキングの偏り
ダイインクは染料を溶剤に混ぜ入れて作られる、水分量の多いインクです。
これをスタンプの印面に付けると、表面張力の影響で水分が集まろうとして部分的にムラができてしまいます。
いわゆるインクの弾きです。(線のデザイン、画像1の上の菊)
【画像1】

よりも、凸面の広い絵柄(ハート)のスタンプに顕著に現れます。
【画像2】

そしてフォトポリマーでできたクリアスタンプには、画像2のような昔ながらのゴム製のスタンプよりも水分を弾く性質があります。
さらに、パッケージから出したばかりの新品のクリアスタンプには生産途中に残るオイルなどの影響もあるため、水分が弾きやすくなっています。
お客様のお使いになっているレイヤースタンプのピースは、この弾きやすい条件を備えていると言えるでしょう。
インクがしっかりとなじんでカード作り本番に使えるくらいになるまで、インクを付けては要らないペーパーに押す、を繰り返します。
目安に過ぎませんが、よほど大きなピースでない限りだいたい4、5回で問題解消します。
もうひとつの方法は、スタンプの表面を拭くことです。
お持ちであれば、スタンプスクラバーで擦ると良いでしょう。
【画像3】

アクリルの毛が細かい溝にも届く、スタンプ洗浄のためのパッドです。
【画像4】

お持ちでなければ布地やペーパータオル、ウェットティッシュなどでもOKです。
繊維が残る場合は水拭きし、濡らした後はしっかりと乾かしてからインクを付けます。
2:ペーパーへの不均一な浸透
まだらになる2つめの原因には、ペーパーへのインクの浸透が均等でないことが考えられます。
ダイインクはペーパーにしっかりと染み込んでなじむまでまだらに見えることが多いのです。
【画像5】

【画像6】

画像5と6のふきだしは、いずれも上が押してすぐ、下がなじんだ後の発色です。
みるみるうちにインクが吸い込まれて濃さが均一になることもあれば、色ムラがすっかりなくなるまで数時間かかることもあります。
これはインクの性質、ペーパーの種類、その時の湿度や温度など、さまざまな要素によって変わります。
ご質問に挙がっていたマーメイド紙もワトソン紙も、水彩用紙です。
水彩用紙には水分がすぐに染み込まないように加工がなされていることがあります。
乗せた絵具を表面に留まらせ、色をぼかしたりにじませたりと水彩画ならではの手法を行うための加工です。
ペーパーの芯まですっかり染み込ませてこそのダイインクにはあまり向いているとは言えなそうです。
ローンフォーン、ヒーローアーツ、またはアメリカンクラフトなどのカードメイキング用として販売されているカードストックの白が最も適していると思われます。
③淡くスタンプできない
上で述べました通り、ペーパーにすっかり染み込ませて発色させるのがダイインク。ですので、「インクを少なめにして淡く、多めにして濃く」ということはできません。少なめにすればムラになってしまいます。
ダイインクを色ムラなく均等に淡い発色にスタンプをする方法に、セカンドジェネレーションスタンピングというテクニックがあります。
1回インクを付けて要らないペーパーにスタンプして、残ったインク(画像7)で本番のスタンプ(画像8)をするのです。
【画像7】

【画像8】

インクを付け直さずに2回、3回と押すことで、お好みの濃さのスタンピングが可能になります。
濃淡のグラデーションになるので、このテクニックを利用したカードデザインも楽しめます(画像9、たったの2色でできています)。
【画像9】

やり方はクロッチャのマガジンでご覧いただけます。
そしてこれもまた先に述べました通り、別のペーパーをお選びになることで優しい発色が望める場合もあります。
ペーパーに染み込むため、言ってみればインクの色が白(ペーパーの色)と混ざった状態を見ることになるからです。
画像5と6の上と下では、下、つまり押してから時間が経ってなじんだ方がふんわりと優しい色味になっているのがお分かりいただけます。
画像10のハートも、左右ともに同じインクで時間差でスタンプしています。
【画像10】

他に淡い発色のスタンプを楽しむ方法となりますと、ピグメントインクの使用が挙げられます。
アルテニューのようなダイインク(染料ベース)と違い、ピグメントインクは顔料ベースです。
顔料、つまり水に溶けない粒子を含んだスタンプインクなので、不透明のインクが作れるのです。
ピグメントインクはペーパーに染み込まず、表面に留まった状態で乾きます。
ですのでペーパーの質や色にはあまり影響を受けません。
お客様がおっしゃる「淡い」色がパステルカラーを指すのであれば、ピグメントインクを試されるのも良いかもしれません。
+++++++++++++++
道具の使い方
|